大船渡「やっぺし祭」


 岩手県大船渡市で復旧活動をされている地元の消防士や大船渡出身の方々と、アーティスト・遠藤一郎氏が意気投合し、復興祭をやろうという話しになった。5月に入り、遠藤氏から、300人分の炊き出しをやりたいが、なにか一緒に考えられないかと連絡をいただき、食をテーマにした作品を作る現代美術アーティスト・EAT & ART TARO氏を紹介した。岩手の言葉で「やってみよう」という意味で「やっぺし祭」と名付けられたその祭には、地元の方々のなみなみならぬ熱意がこもっていた。



 「祭の名前が決まりました」と連絡を受けたのは、5月も下旬にさしかかった頃。支援物資のパスタがたくさん余っているというので、パスタをつかった料理ができないかとTARO氏に相談したところ、わんこそば、冷麺と並び、盛岡三大麺のひとつに数えられる「じゃじゃめん」をアレンジした、じゃじゃパスタをつくってみようということになった。食材を全国のNPOに呼びかけ、あおもりNPOサポートセンターからニンニクが、札幌のAISプランニングから旬のアスパラガスが、淡路島アートセンターからたまねぎが、路地と人のネットワークで小豆島の小豆島ヘルシーランド株式会社からオリーブオイルが、そして福岡のART BASE 88の宮本初音さんと津田三朗さん、九州大学有志の方々から野菜とお菓子を寄せていただいた。

 5月28日、TARO氏ともに仙台から車で大船渡に向かう。下富岡公民館に着くと、すでに打合せが始められていた。全体を取り仕切る地元の方に混じり、全国から集まった若いアーティストやボランティアがたくさん参加していて、熱気もむんむん。夜遅くまで準備が続けられた。翌朝、公民館の台所を借りて、若い学生さんたちにも手伝ってもらい、料理の下ごしらえに取りかかった。遠藤氏たちは会場である猪川小学校に向かい、設営をはじめる。前日までの雨でグランドが使えないため、急遽会場を体育館に移して行うことになった。
 体育館内では、マッサージやこどもたちの造形ワークショップ、ライブのほか、赤、青、黄色、ピンクの全身タイツを身にまとったスーパーヒーロー(?)の格好でのお茶会など、楽しい催しも繰り広げられ、子どもたちもおおはしゃぎ。屋外では、炊き出しのほか、青空床屋なども。なかでも、とりわけ素晴らしかったのは、大船渡の伝統芸能である「鹿踊」だ。鹿の角がついた衣装は、すこぶる格好良くて、太鼓にあわせて踊る舞も華やか。大人からこどもまで、誰もが踊りに引き込まれた。



 我々炊き出しチームはというと、その実、体育館での催しを見る余裕もなく、地元婦人会のお母さん方によるフランクフルトと豚汁に混じり、じゃじゃパスタを振る舞っていた。パスタを湯がきはじめると、あっという間に長蛇の列ができ、少し焦る。300人分のじゃじゃパスタとアスパラベーコンの炊き出しは、ものの1時間ほどでなくなり、TARO氏と婦人会のお母さんたちの機転で、支援物資のツナ缶をつかったツナパスタを急遽追加することに。トータルで500食ほど提供できただろうか。最後は、パスタのゆで汁に卵を入れ「鶏蛋湯(チータンタン)」にも。ゆで汁さえも無駄にしない炊き出しはさすが。目の回るような忙しさではあったが、数十人のお母さんたちによる見事な連係プレーによって、無事炊き出しを終えることができた。



 皆で後片付けをしたのち、今回のメインでもある遠藤一郎氏の連凧をグランドであげる。子どもたちのメッセージがかかれた、30cmほどの凧をみんなで持ち、遠藤氏のかけ声で一斉に手を離すと、たくさんの希望を乗せた連凧が、するすると大船渡の空高くへと登っていった。


 やっぺし祭は、これからも定期的に続けられるということになりそうだ。

未来美術家 遠藤一郎(http://www.goforfuture.com/
EAT & ART TARO(http://web.mac.com/eat_art/site/Top.html

樋口貞幸(アートNPOリンク)


活動支援プログラム
活動支援プログラムを通じて寄附を募集しています。
http://anpoap.org/?page_id=933

Comments are closed.