「やっぺし祭り」に参加して

 5月29日、岩手県大船渡市で開催されることになった「やっぺし祭り」のボランティアに参加した。
 この「やっぺし祭り」は、大船渡市民の方と、出身者、そして県内外のアーティストが共同で作り上げた一大イベントだ。
 話の発端は、未来芸術家遠藤一郎さんが、大船渡市の避難所で炊き出しのお手伝いをした際に出会った小学校の教頭先生の一言がきっかけとなったとのこと。「何かおもしろい炊き出しができないだろうか・・・。」という何気ない会話をヒントに、その場にいた地元在住、地元出身者の方々と話し合い、その場で開催することを決定したという。私はその直後に遠藤さんと会い、一連の経緯を聞かせていただき、お手伝いする約束を交わしたという次第だ。
 直接的な被災のない地域の人間が、被災地でアクションを起こすということは、現状ではかなり難しく、「被災者の方々の為に何かできないか。」と思案し、悶々とした日々を過ごされている方も少なくないと感じる今日この頃。まさかこの時期に、しかも地元の方々と一緒にイベントができるなんて・・・。
 今回のイベントは、普段から行われている「炊き出し」に加え、遠藤一郎さんをはじめとするアーティストによるワークショップ、そして、地元の伝統芸能、散髪、マッサージなどなど、様々な催しが展開されることになっていました。また、被災地での芸術活動を支援する「アートNPOエイド」とも連携し、「炊き出し」には、EAT&ARTのTAROさんを招き、趣向を凝らした料理を提供することも提案されていた。

 さて、そうしたお楽しみが盛りだくさんのイベントに、前日から入り、準備からお手伝い。
スタッフの滞在場所となっている公民館には、北は北海道から、南は愛媛まで、全国各地から、様々な職種の方々が集結していた。スタッフは、イベントの中心人物である、地元の消防士千葉善博さんと、地元の大船渡サポートネットワーク・センターで活動している石鍋博子さん(ワンピース倶楽部)そしてアーティストの遠藤一郎さんの指揮の下、看板を作ったり、ワークショップの仕込みをしたりと大忙し。学校祭の前日の様な、特殊な興奮状態に包まれる一夜を過ごした。

 翌朝、やっぺし祭り当日。
 私は、EAT&ARTのTAROさんのお料理のお手伝いからスタート。
 岩手名物「じゃじゃ麺」をパスタでアレンジした「じゃじゃパスタ」を考案したTAROさん。数名のスタッフと共に、約300食分の食材をザクザクと切り分け、黙々と調理。北海道から送らせていただいたアスパラも、ベーコンと合わせて「アスパラベーコン」として楽しんでいただくことになった。

 午前中いっぱいかけて仕込みを終わらせて、いよいよ会場となっている猪川小学校へ。既にプログラムがいくつか始まっているぞ!あわてて明快状の体育館へ足を運ぶと地元ミュージシャンによるホークソングライブの真っ最中。正にお祭り!

 一歩炊き出しのほうは・・・長蛇の列!!
 急いで「じゃじゃパスタ」の準備に取りかかるTAROさんとアートNPOリンク樋口さん、そしてスタッフ一同。地元の婦人会の方々にまぎれて、いよいよ料理の提供開始。できあがった「じゃじゃパスタ」はというと・・・おぉ〜!とってもかわいらしい!味のほうは・・・うま〜い!

 訪れた方々は、この「じゃじゃパスタ」を物珍しそうに手に取り、モグモグ、そしてニッコリ!大成功!とにかく皆さん食べる食べる!
そして、一時間ほどであっという間に完売(無料)!予想以上の人出に、婦人会のマダム達に強力なバックアップをいただき何とか乗り切った!一同汗だくでした!
 炊き出しの後は、各プログラムのお手伝い。おもしろい催しが様々ある中、私は、餅つきと、綱引きと、鬼ごっこのサポートに入った。誰もが一度は経験したことのあるこれらの催しは、大人から子どもまで楽しめる!何といっても子どもの笑顔が一番!子どもたちの笑顔が社会にとってどれほど勇気を与え、大人のエネルギーとなることか、私も被災地に来てそのパワーと価値を再認識できた。

 その後も、様々なプログラムが展開されたが、ひときわ目を引いたのが、郷土芸能の獅子踊りと剣舞。津波で衣装が流されてしまったとのことだが、周辺地域の協力で、このやっぺし祭りでの披露が実現した。本来この踊りは、五年祭という大祭で披露されるものだが、震災の影響で今年は中止になったそう。
 私を含む県外から来た人たちにとっては、とても新鮮で力強い踊りとして映ったが、地元の方々にとっては、こうした見慣れた踊りこそ、一番の励ましになったのではないかと感じた。

 そして、数あるワークショッププログラムの中でもトリを務めたのが、遠藤一郎さんによる連凧!参加者と一緒に一枚一枚の凧に未来へ向けたメッセージを書き、一つにつなげて飛ばす。
 グラウンドに一同が会して、約53枚、60メートルほどの長い連凧を参加者やスタッフみんなで持ちあげる。
「いくぞ〜!」
 遠藤さんの合図で一気に空に舞い上がる!それぞれの思いが未来に向かって羽ばたく瞬間。
「おお〜〜!」
 歓声が沸き上がり、連凧は、大空高く舞い上がった。ここ数ヶ月のいろいろな思いが、少し報われた思いを参加した皆さんと共有した瞬間だった。
 さて、こうして第一回目のやっぺし祭りは無事終了。プログラム盛りだくさん!にぎわい満点!大成功!
 今回の成功の鍵は、やはり地元の方々の思いに寄り添って、想像以上の感動や、発見をもたらしたアーティストの存在が大きかったと考えている。内容もさることながら、人との触れ合いの機会や、思いを発散し、感動を共有する機会は少しでも多くあったほうがいい!!思いを募らせることはできても、思いを形にするのは、どんな時でも大仕事だ。
関係者の皆さん、本当にお疲れさまでした!

漆 崇博(AISプランニング)


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